ビットコインなどの仮想通貨(暗号資産)の記事を読んでいると大手半導体メーカーであるNVIDIAの名前が出てきます。
しかし、ビットコインと半導体メーカーがどう関係しているのかわからない方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事ではビットコインとNVIDIAの関係性について解説していきます。
ビットコインとは?
まずはビットコインについてかんたんに解説します。
ビットコインはブロックチェーン上で発行された史上初の仮想通貨(暗号資産)です。
ブロックチェーン上では「マイナー」と呼ばれるコンピュータが「マイニング」という処理を行っています。
このマイニングがNVIDIAと関係しているため、覚えておきましょう。
NVIDIAとは?
続いてNVIDIAについてもかんたんに解説します。
NVIDIAはアメリカの大手半導体メーカーです。
主に映像処理を行うグラフィックボード(GPU)の開発を行っています。
GPUはパソコンのパーツとして販売されており、主に高クオリティな3Dゲームをしたり、CGを制作する際に使われます。
最近では生成AIの普及により、AIのニュースなどでもNVIDIAの名前を度々目にします。
ビットコインとNVIDIAの関係
ではなぜビットコインの文脈でNVIDIAが出てくるのでしょうか。
それはマイニングをする際にNVIDIAのGPUが使われているからです。
ビットコインの取引などではマイニングの作業が必要になります。
マイニングでは膨大な計算処理が必要になります。
通常、コンピュータで計算などの処理を行うのはCPUと呼ばれるパーツなのですが、CPUでは処理に時間がかかってしまいます。
そこで考えられたのがGPUをマイニングに活用する方法です。
しかし、GPUは先ほども書いたように映像の処理に用いられるコンピュータのパーツです。
それなのになぜGPUがビットコインの計算処理に使われるのでしょうか。
それはGPUの性能がCPUよりも圧倒的に高いからです。
実は映像の処理はコンピュータの中でもかなり負荷のかかる処理であり、それを難なくこなせるのがGPUです。
つまり、GPUを応用すれば膨大な計算が必要となるビットコインのマイニングも高速にできるのではないかと考えられました。
そしてGPUを製造している会社はNVIDIAを含め、2つほどあるのですが、中でもトップクラスに有名なのがNVIDIAのGPUです。
そこでNVIDIAのGPUがビットコインのマイニングに利用されるようになり、ビットコインとNVIDIAが関連するようになりました。
ビットコインの価格とNVIDIAの株価の関係
実はビットコインとNVIDIAはマイニングだけが共通点ではありません。
ビットコインの価格とNVIDIAの株価も関係していると言われています。
大手仮想通貨関連ニュースサイトのCoinDeskが2024年3月に発表した記事によると、ビットコインの価格とNVIDIAの株価は90日間および52週間の相関係数が0.80を上回っているとしています。
相関係数は1に近づくほど両者の価格に連動関係があるとされていることから、ビットコインの価格とNVIDIAの株価は非常に高い相関関係にあるといえます。
このようにビットコインとNVIDIAはマイニングだけでなく、両者の価格にも影響を与えていると考えられています。
ビットコインはGPUの価格にも影響を与える?
実はビットコインはNVIDIAなどのGPUの価格にも影響を与えています。
先ほども書いたようにビットコインのマイニングにはGPUが使われます。
そのため、ビットコインのマイニングの需要が高まれば、GPUの需要も高まり、買い占められることがあります。
これにより、GPUの市場価格が上昇する原因となります。
実際に2021年頃にはマイニングの需要が急増したことにより、GPUの価格が高騰しました。
このときにはあまりにもGPUが市場から少なくなったことから、NVIDIAはゲームなど、本来の目的で使う人のためにNVIDIAのGPUのマイニング性能に制限をかけるなどの措置を発表しました。
現在では円安による日本での価格高騰などはあるものの、マイニングに関する影響はなく、定価で販売されています。
環境の問題
一方でビットコインには環境面で問題があるといわれることがあります。
ビットコインのマイニングには膨大な計算が必要であることから、GPUが使われることが多いと説明しました。
しかし、膨大な計算を行うためには膨大な電力も必要です。
つまり、ビットコインが普及することにより、マイニングのために多くの場合、GPUが使われます。
これにより、多くの電力が必要となるため、電力を発電するためにCo2などが排出されることとなります。
実際に国連大学の発表ではビットコインのマイニングに関する環境負荷について以下のように書かれています。
国連大学とEarth’s Future誌が発表した研究結果によると、2020年から2021年の間に、世界のビットコイン・マイニングによって173.42テラワット時の電力が消費されました。
この結果は、約380億キロの石炭を燃やした場合、あるいは190基の天然ガス火力発電所を稼働させた場合に相当します。国連大学の科学者らによれば、ビットコイン・マイニングは化石燃料源に大きく依存しており、石炭がビットコインのエネルギー供給源の45%を占め、天然ガス(21%)がそれに次ぐと報告しています。
(出典:国連大学)
このように、GPUを使ってマイニングを行うことで、化石燃料を中心とした電力が消費され、結果的に環境負荷の増大につながっていると言われています。
一方でマイニングで発生する熱を有効活用する取り組みも行われています。
Cointelegraphの記事によると、「ビットコインのマイニングで発生した熱をサーモンの養殖場で活用することにより、サーモンの成長期間を最大3倍短縮することができる」と発表されています。
このように、GPUなどを使ったビットコインのマイニングにより環境負荷が増大していることは確かではあります。
一方で、マイニングにより発生する熱を有効活用する取り組みも行われています。
ビットコインとNVIDIAに関する1問1答
ビットコインとNVIDIAにはどんな関係がありますか?
ビットコインのマイニングにNVIDIAのGPUが使われています。
なぜNVIDIAのGPUがビットコインのマイニングに使われるのですか?
GPUは一般的に情報を処理するCPUよりも非常に性能が高いため、ビットコインのマイニングに使われます。
また、NVIDIAはGPUのシェアを大きく占めているため、マイニングでもNVIDIAのGPUが使われがちです。
まとめ
今回はビットコインとNVIDIAの関係性について解説しました。
ビットコインのマイニングにNVIDIAのGPUが使われることから、両者の関係がよく話題となっています。
参考リンク
- ビットコインとNVIDIAの相関関係に関するCoinDeskの記事
「Bitcoin's Correlation to Nvidia Strongest in Over a Year」 - ビットコインの環境負荷に関する国連大学の発表
「国連大学が暗号資産による環境負荷を示す最新報告書を発表」 - Cointelegraphによるビットコインの環境に関する影響の記事
「ビットコインマイニング より環境に優しくなっている【オピニオン】」