仮想通貨業界の枠を超えて注目されているBTC現物ETF。
11日未明に11のファンドの申請が承認されたことにより注目が集まっています。
一方でビットコインはすでに多くの仮想通貨取引所で取引できるのに、なぜBTC現物ETFの承認がここまで話題になっているのかわからない方も多くいるでしょう。
この記事ではBTC現物ETFの承認がここまで注目される理由について、暗号資産・ブロックチェーン専門メディアであるCryptoBright(当サイト)の編集者が解説していきます。
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BTC現物ETFとは -わけて考えてみよう-
投資に詳しくない方にとってはBTC現物ETFと聞いても、そもそもそれぞれの単語の意味があまりよくわからない方も多いと思います。
そこでまずは「BTC」「現物」「ETF」の3つに分けて解説していきます。
BTCとは
まずはBTCですが、こちらは比較的理解されている方も多いかと思いますので軽い解説にしておきます。
ビットコインは2009年にブロックチェーン上の通貨として世界で初めて発行された通貨です。
当初は1円未満の価値しかありませんでしたが、過去には一時750万円付近になるなど、価格の上下が激しいことなどから度々話題になります。
ビットコインに詳しい方でなくても仮想通貨の取引は仮想通貨取引所で行えることはご存知の方も多いかと思います。
後ほど詳しく解説しますが、そんなビットコインが証券取引所で取引できるようになるのが今回のETFの本質的な部分となります。
現物とは
続いて現物について見ていきましょう。
まず、投資をする際には大きく分けて現物と先物の2つがあります。
現物とは自分の資産と取引する資産を1:1で取引することを指します。
例えば1万円でビットコインを購入すると1万円相当のビットコインを手に入れることになります。
また、このビットコインは(トラブルなどがなければ)永久的に保有することができます。
日常生活の中でコンビニやスーパーでお金を払って商品を買うのが現物のイメージです。
一方で投資の世界には「先物」という取引方法もあります。
先物取引の場合、一般的に決済日(売却する日)が決められており、その日に契約条件が実行されます。
今回は現物に関する記事のため、詳解は避けますが、このような取引方法を先物取引と呼びます。
実はBTC先物ETFについてはすでに上場しています。
現物と先物のどちらもメリット・デメリットがあるのですが、先物の場合、取引の期限が決められているため、期限が来るごとに買い直す必要があります。
そのため、永久的に(トラブルなどがなければ)保有できる現物ETFのほうが注目されているというわけです。
ETFとは
ではここからメインとなるETFについて解説していきます。
BTCや現物までは理解できても、ETFはあまり聞き馴染みがなく、理解できていない方も多いでしょう。
ETFとは日本語にすると「上場投資信託」になるのですが、これでもよくわからないと思うのでもう少し詳しく解説していきます。
イメージとしては、ETFはいくつかの企業や商品などをまとめて、1つの「かご」に入れた投資商品です。
これを買うことで、そのかごに入っている様々な商品に一括で投資することになります。
例えば、テクノロジー企業やエネルギー関連の企業が入っているETFを買えば、これらに同時に分散投資したことになります。
BTC現物ETFが注目される理由
ではここからはBTC現物ETFが注目される理由について解説していきます。
BTC現物ETFが注目されている理由としては主に以下の3点が挙げられます。
- 従来の投資家による参入が期待される
- BTCの流動性の向上が期待される
- BTCの価格上昇が期待される
1.従来の投資家による参入が期待される
1つ目の理由は「従来の投資家による参入が期待される」という点です。
先述したとおり、これまではビットコインを取引するためには仮想通貨取引所の口座を持っている必要がありました。
一方でビットコインがETFとして証券取引所に上場すれば大手証券会社などを通じて取引が行えるようになります。
すでに暗号資産取引を行っている人からすれば仮想通貨取引所の中でもそれなりに信頼できる取引所を思い浮かべる方も多いかと思います。
しかし、どの仮想通貨取引所であっても仮想通貨取引所という括りの中では歴史が深かったり、実績があったりするかもしれませんが、金融機関という点で考えると大手証券会社などとは比べ物になりません。
証券会社によっては百年近くの実績のある会社もあるわけです。
そのため、これまで仮想通貨取引所の信頼性の不安から取引を控えていた投資家にとってはETFの上場により証券会社で取引できるようになり、ビットコインを購入する動機となり得ます。
また、自身で仮想通貨取引所の口座で取引するよりも管理が簡単であることからビットコインの投資家が増加するのではないかとも言われています。
ビットコインなどの暗号資産を長期的に保持する場合、一般的にはウォレットと呼ばれる暗号資産専用のツールに保管します。
しかし、セキュリティ上の問題などから様々なことに配慮しなければならない点や専門用語が多いなどの問題で、これまで株などを中心に投資してきた投資家にとっては取引しにくい商品でした。
一方でBTC現物ETFの場合、信頼のおける大手の金融機関がビットコインの保管を行ってくれます。
そのためウォレットなどの専門知識がなくともビットコインに対して長期投資を行うことができるというわけです。
これは金(ゴールド)も同様です。
通常、現物で金を保有するとなると販売会社から金塊や金の延べ棒を購入して家に置いておくことになります。
しかしセキュリティなどの理由で手元に置いておくことは非常に不安だと思います。
一方で金のETFであれば金融機関が管理してくれるため、安全に金を保有できるということができます。
このような理由からBTC現物ETFの取引が開始されれば既存の投資家が参入するのではないかと期待されています。
2.BTCの流動性の向上が期待される
2つ目の理由は「BTCの流動性の向上が期待される」という点です。
ETFの上場により既存の投資家がビットコインを購入するようになるというのは先ほど述べたとおりです。
これにより、非常に多額の投資をする「機関投資家」も参入することが期待されます。
そのため、ビットコインの流動性が高くなるのではないかと予想されています。
3.BTCの価格上昇が期待される
3つ目の理由は「BTCの価格上昇が期待される」という点です。
これまでは仮想通貨取引所の口座がないとビットコインの購入ができませんでしたが、ETFの上場により証券取引所で取引できるようになるというのは先述したとおりです。
また、機関投資家が投資しやすくなるというのも前項で述べました。
このような理由から単純にこれまでよりも間口が広くなり、多額の資金が投資されることが予想されるため、価格の上昇が期待されています。
また、ETFの承認に関するニュースが世間で報道されることもあります。
これにより、これまでビットコインに興味のなかった人が購入することで価格が上昇するのではないかとも言われています。
BTC現物ETFの懸念点
一方でビットコイン現物ETFの承認により懸念されていることもいくつかあります。
それが以下の2点です。
- 中央集権的な管理が行われる
- 取引時間が限られる
1.中央集権的な管理が行われる
1つ目の理由は「中央集権的な管理が行われる」という点です。
ビットコインは分散型台帳技術であるブロックチェーンによって管理されており、管理者や運営者を必要としないことが特徴です。
そのため、ビットコインを保有することで、中央集権的なリスクを回避できると考えられています。
しかし、BTC現物ETFの場合、ETFの管理者がビットコインを保有することになるため、その管理者に対して、BTCの盗難や紛失などのリスクが生じる可能性があります。
また、管理者の運用方針によっては、投資家にとって不利益な結果をもたらす可能性もあります。
ただし、個人と大手の金融機関による管理リスクを比べると圧倒的に大手の金融機関による管理の方が安心できると考えられるため、そこまで重大な懸念点ではないと思われます。
2.取引時間が限られる
2つ目の理由は「取引時間が限られる」という点です。
通常の仮想通貨取引所の場合、24時間365日取引が可能です。
一方でETFは証券取引所が開いている時間でないと取引ができません。
一般的には平日日中しか取引ができないようになっています。
このようにこれまで通りの仮想通貨取引所での取引と比べると若干の懸念点が挙げられています。
日本でもビットコインETFの取引はできる?
では日本でもビットコインETFの取引はできるのでしょうか。
記事執筆時点では日本でビットコインのETFは現物・先物ともに取り扱いの予定はありません。
そのため、現時点では仮想通貨取引所を介して取引を行う必要があります。
まとめ
今回はBTC現物ETFの承認が注目されている理由について解説してきました。
米国での承認を受けて他国でもETF上場の動きが見られています。
ビットコインは数カ月後には半減期も予定されているため、今後より注目が集まるものと見られます。