仮想通貨投資を行う際にはデイトレードのように自分で取引を行う以外にも積立投資による投資を行うことも可能です。
しかし、積立投資にはメリットだけでなく、デメリットも生じます。
また、どの取引所で積立投資ができるのかわからない方もいるでしょう。
この記事では仮想通貨の積立投資の概要からメリット・デメリット、取引所の選び方まで徹底解説します。
仮想通貨積立とは?
仮想通貨積立とは1つまたはいくつかの仮想通貨を一定期間ごとに一定量ずつ買い増ししていく投資方法です。
例えばビットコイン・イーサリアム・リップルを毎月それぞれ1,000円ずつ買い増ししていくことで、1年間でそれぞれに対して12,000円ずつ投資を行うことになります。
仮想通貨の価格は常に変動しており、購入するタイミングごとに価格が異なります。
しかし、購入する金額は毎月1,000円相当と決めているため、各通貨の価格が安いときは多くの枚数を、逆に価格が高いときは少なめの数量を購入することになります。
こうすることで高値で多く購入することを防ぎ、平均購入単価を抑えることができます。
この投資の方法は「ドルコスト平均法」とも呼ばれています。
仮想通貨積立のメリットとデメリットを徹底解説
では、仮想通貨積立のメリットやデメリットにはどのような点があるのでしょうか。
仮想通貨積立のメリット
仮想通貨積立のメリットにはこのような点があります。
- 分散投資が容易
- 自動的に投資できる
- 投資への参入障壁が低い
1. 分散投資が容易
1つ目は分散投資が容易という点です。
仮想通貨の積立を行う場合、積立に対応しているほぼすべての取引所で複数の銘柄の積立に対応しています。
つまり、最初に積立の設定さえすれば、1つの銘柄だけでなく、複数の銘柄に分散した投資が可能となります。
定期的にどの銘柄に投資するのかを見直す必要はありますが、あらかじめ設定すれば自動的に分散して投資できるのはメリットといえます。
2. 自動的に投資できる
2つ目は自動的に投資できるという点です。
積立投資は始める際にどの銘柄にどのくらいの頻度で投資を行うのかを設定すれば、その周期で自動的に購入が行われます。
そのため、購入するタイミングを自分で考えなくても、自動的に積立がされていきます。
ちなみに、頻度については取引所にもよりますが、1日ごと・1週ごと・1ヶ月ごとの3つから選べることが多いです。
3. 投資への参入障壁が低い
3つ目は投資への参入障壁が低いという点です。
一般的に仮想通貨に限らず、投資をするというと多くの資金が必要なイメージがあります。
例えばつみたてNISAなどの場合、毎月1,000円からとなっている証券会社が多くあります。
また、仮想通貨を自分のタイミングで購入する場合、取引所や銘柄によっては数千円単位でないと購入できないこともあります。
一方で仮想通貨の積立の場合、取引所にもよりますが500円から始められるところもあります。
このように、少額から仮想通貨への投資が行える点もメリットといえます。
仮想通貨積立のデメリット
ここまでは仮想通貨積立のメリットを解説してきましたが、もちろんデメリットもあります。
では、仮想通貨積立のデメリットにはどのような点があるのでしょうか。
- 市場の不安定性
- セキュリティリスク
- 手数料が高い
1. 市場の不安定性
1つ目は市場の不安定性という点です。
仮想通貨は株や投資信託など、他の投資商品と比べても値動きの幅(ボラティリティ)が高い傾向にあります。
そのため、購入するタイミングによって大きな利益が得られる可能性がある一方で、同じくらいの確率で大きな損失を被る可能性もあります。
また、仮想通貨の価格が下落している局面で積立を行った場合も同様に損失が出る可能性があります。
ほとんどの取引所で積立を一時的に止めることもできますが、自分のタイミングで投資を行う場合であれば下がり続けていれば購入を控える判断もできるため、この点は自動で積み立てられる仮想通貨積立のデメリットといえます。
2. セキュリティリスク
2つ目はセキュリティリスクです。
仮想通貨を購入し、長期的に保管する場合、一般的には「ウォレット」と呼ばれる専用の口座のような場所に保管します。
しかし、このウォレットに関しては個人だけでなく、取引所のウォレットに対してもハッキングが度々起きています。
手動で積立をする場合は積立専用のウォレットを用意し、都度ウォレットに送金を行い、ウォレットのハッキング対策を行うことによってウォレットがハッキングされて資金を失う可能性を下げることはできます。
一方で、仮想通貨積立の場合は取引所のウォレットに保管されるため、取引所側のハッキング対策によってはハッキングを受ける可能性があります。
しかし、国内の取引所の場合は、一般的には取引所のウォレットがハッキングされた場合でも補填される可能性が高いと言われています。
また、知識がない人にとっては自分でウォレットのハッキング対策を行う方が不安だという人もいるでしょう。
どこまで取引所を信じるかは人それぞれですが、どちらの場合でもセキュリティリスクがあることは頭に入れておく必要があります。
3. 手数料が高い
3つ目は手数料が高いという点です。
仮想通貨積立はほとんどの取引所で手数料が無料となっています。
しかし、積立による購入はほぼすべての取引所で「販売所」から購入されます。
少しややこしいのですが、多くの仮想通貨取引所には「販売所」と「取引所」の2つがあり、基本的に「取引所」の方が手数料が安いです。
(違いについては後ほど詳しく解説します。)
つまり、積立手数料自体は無料ですが、積立によって購入されるのが手数料の高い「販売所」であることで、「取引所」で自分で購入するよりも手数料がかかってしまうというわけです。
初心者におすすめの仮想通貨積立取引所とその選び方
続いて初心者におすすめの積立ができる仮想通貨取引所について解説していきます。
今回は以下の基準で選定を行いました。
- 購入周期の多さ
- 対応銘柄の豊富さ
- 最低積立価格の低さ
まず、購入周期です。
積立は一定の間隔で行われますが、この周期が1日ごと・1週ごと・1ヶ月ごとなど、選択肢が多い取引所を選定しました。
また、対応銘柄の豊富さも選定基準として設定しました。
多くの銘柄に対応している取引所の方が分散投資を行うことが可能になります。
そして最低積立価格も低い取引所を選びました。
これから積立投資を行う方にとっては大きな金額での投資は不安かと思います。
そこで500円など、少額から積立投資ができる取引所を選定しました。
サービス名 | 購入周期 | 対応銘柄数 | 最低積立価格 |
GMOコイン | 毎日・毎月 | 21銘柄 | 500円 |
SBI VCトレード | 毎日・毎週・毎月 | 23銘柄 | 500円 |
bitFlyer | 毎日・毎週・隔週・毎月 | 32銘柄 | 1円 |
BITPOINT | 毎月 | 23銘柄 | 5,000円 |
bitTrade | 毎日・毎週・隔週・毎月 | 10銘柄 | 1,000円 |
GMOコイン
購入周期 | 毎日・毎月 |
対応銘柄数 | 21銘柄 |
最低積立価格 | 500円 |
GMOコインは積立だけでなく、多くのトレーダーからも選ばれている取引所です。
対応銘柄数は21銘柄と平均的な数となっています。
最低積立価格は500円と、比較的始めやすい価格となっています。
SBI VCトレード
購入周期 | 毎日・毎週・毎月 |
対応銘柄数 | 23銘柄 |
最低積立価格 | 500円 |
SBI VCトレードは証券サービスや銀行を提供するSBIホールディングス傘下の企業であり、安心感があります。
SBI VCトレードも出金手数料などが無料であるため、銀行口座へ利益を出金する際に手数料を節約できます。
対応銘柄数は23銘柄と、こちらも平均的です。
また、最低積立価格も500円ですので、比較的始めやすい価格となっています。
bitFlyer
購入周期 | 毎日・毎週・隔週・毎月 |
対応銘柄数 | 32銘柄 |
最低積立価格 | 1円 |
bitFlyerは国内取引所の中でも非常に人気な取引所です。
対応銘柄数は32銘柄と、今回紹介する中では最多の銘柄数となります。
また、最低積立価格は1円と、特に始めやすいのが特徴です。
BITPOINT
購入周期 | 毎月 |
対応銘柄数 | 23銘柄 |
最低積立価格 | 5,000円 |
BITPOINTもSBI系列の仮想通貨取引所となります。
BITPOINTの一番の特徴は「パックつみたて」という機能がある点です。
他の取引所では1銘柄ずつ選んで積立を行う一方で、BITPOINTはいくつかの銘柄がパックとなっており、これを選ぶだけで銘柄選びは完了します。
また、積立時の入金は口座振替により、自動的に銀行口座から引き落とされるため、仮想通貨取引所内の日本円残高を気にする必要はありません。
最低積立価格が5,000円なのがネックですが、かんたんに積立したい方にはBITPOINTがおすすめです。
bitTrade
購入周期 | 毎日・毎週・隔週・毎月 |
対応銘柄数 | 10銘柄 |
最低積立価格 | 1,000円 |
bitTradeは対応銘柄数は10銘柄、最低積立価格は1,000円と、今回紹介した中では他と比べると劣っています。
一方で自分で取引を行う場合、対応銘柄には他では取り扱っていない珍しい銘柄が多くあります。
積立だけでなく、自分で取引したい方で、かつ珍しい銘柄を取引してみたい方にはbitTradeがおすすめです。
仮想通貨積立の銘柄の選定基準
次に仮想通貨積立を行う上で銘柄の選定基準について解説します。
積立を行う銘柄は人によって異なりますが、一般的には「長期的に安定した成長が期待できる銘柄」が良いとされています。
積立投資は一定間隔ごとに買い増しをしていくため、短期ではなく長期で大きな利益を狙う投資方法といえます。
もし今後価格が下落していく一方な不安定な銘柄を選んでしまうと、積立を行う意味がありません。
そのため、長期的に安定した成長が期待できる銘柄が良いと言われています。
仮想通貨積立の始め方:具体的なステップ
では仮想通貨の積立を行う場合、どのようなステップで始めればいいのでしょうか。
基本的には以下のような手順で始めることができます。
- 仮想通貨取引所の口座の開設
- 仮想通貨取引所内で積立の設定
- 仮想通貨取引所に日本円を入金
- 定期的に積み立てる銘柄を見直す
1. 仮想通貨取引所の口座の開設
まずは仮想通貨取引所の口座開設を行わなければ積立を開始できません。
先ほど紹介した仮想通貨取引所の一覧を参考に口座開設を行ってみましょう。
ちなみに先ほど紹介した仮想通貨取引所であれば口座開設手数料や維持費などは必要ありません。
2. 仮想通貨取引所内で積立の設定
口座開設が完了すれば積立の設定を行います。
一般的にはWebサイトやアプリ内から積立の設定を行えます。
このときに積み立てる銘柄を選んだり、積立を行う間隔・金額を設定したりする必要があるため、口座開設を待っている間に検討しておくと良いでしょう。
3. 仮想通貨取引所に日本円を入金
続いて仮想通貨取引所へ日本円の入金を行います。
先ほど紹介した仮想通貨取引所の中のBITPOINTを除いて積立が行われる数日前には日本円を仮想通貨取引所の口座へ入金しておく必要があります。
(BITPOINTは口座振替により自動的に銀行口座から引き落とされるため入金の必要はありません。)
積立の場合、設定した間隔ごとに仮想通貨取引所内の日本円残高が積立時に設定した金額より低い場合は正しく積立が行われません。
カレンダーアプリなどで積立が行われる数日前に日本円残高の確認を行うようにスケジュールを入れておくなどして忘れないようにしましょう。
4. 定期的に積み立てる銘柄を見直す
仮想通貨の積立は一度設定しただけで自動的に買い増ししてくれるのがメリットですが、最初に設定した銘柄が悪く、不安定となることがあります。
そのため、定期的に銘柄を見直す必要があります。
しかし、価格の下落が続いている銘柄でも一時的な下落であり、長い目で見れば上昇する場合もあります。
下落すると気分が落ち込むことがありますが、複数の情報源を確認するなどして、一時的な下落なのか、不安定な銘柄になっているのかなどを確認する必要があります。
仮想通貨積立の手数料を抑える方法【販売所と取引所の違い】
最後に仮想通貨積立の手数料を節約する方法についても解説します。
デメリットの項目で積立は「販売所」で購入されるため、手数料が高くなると説明しました。
一方で「取引所」で購入すれば「販売所」よりも手数料が安いため、一定期間ごとに毎回決まった額を手動で購入し続ければ手数料を節約して実質的に積立ができます。
販売所と取引所についてもう少しかんたんに解説します。
少しややこしいのですが、仮想通貨取引所の中には「販売所」と「取引所(板取引とも言う)」の2つがあります。
「販売所」は仮想通貨取引所が仕入れた仮想通貨を購入できるサービスです。
一方で「取引所」はユーザー同士で仮想通貨と日本円の物々交換を行うようなイメージです。
販売所の場合、仮想通貨取引所が利益を得るため、「スプレッド」と呼ばれる実質的な手数料が上乗せされた価格で購入することになります。
そのため、積立自体は手数料が無料でも、販売所価格には実質的な手数料(スプレッド)が上乗せされているため、「取引所」での購入と比べると手数料分高値で購入することになるというわけです。
この販売所による手数料(スプレッド)を回避する方法としては「取引所で手動で積立する」方法があります。
例えば以下のような手順です。
- 積み立てる銘柄・間隔・金額をあらかじめ決めておく
- カレンダーアプリなどで積み立てる間隔ごとにスケジュールを入れておく
- 積み立てる日になったら仮想通貨取引所のアプリを開く
- 「取引所(板取引)」であらかじめ決めていた銘柄の・金額で購入を行う
手間はかかりますが、このようにすることで手数料を節約することができます。
まとめ
今回は仮想通貨の積立について解説しました。
取引所によっては1円から積立ができ、多くの銘柄を設定できるため、長期的に利益を狙いたい方には積立が向いている可能性があります。
多くの情報を調べたうえで、積立を始めてみるのもよいでしょう。