BybitやMEXC、Bitgetなど海外取引所を使い始めると多くの疑問が発生することがあります。
特に多いのが無期限先物取引を行った際に取引直後にも関わらず実現損益がマイナスになることです。
筆者自身も無期限先物を利用し始めたときにマイナスになり、意味がわからかった経験があります。
この記事ではBybitやMEXC、Bitgetといった海外取引所で無期限先物取引を行う際に実現損益がマイナスになる理由や、未実現損益との違いなどについて解説していきます。
- 実現損益の概要
- 実現損益がマイナスになる理由
- 未実現損益との違い
実現損益とは?
まずそもそも実現損益とは何なのでしょうか。
実現損益は一言でいうと確定した損失や利益のことです。
例えば1BTC=300ドル(USDT)で1BTCを買い、1BTC=400ドルで1BTCを決済した(売った)場合、100ドルの利益が確定します。
この場合、100ドルの利益が実現したため、実現損益はプラス100ドルとなります。
逆に1BTC=250ドルのときに1BTCを決済した(売った)場合、50ドルの損失が確定します。
この場合、50ドルの損失が実現したため、実現損益はマイナス50ドルとなります。
実現損益がマイナスになる理由
ではなぜ実現損益がマイナスになるのでしょうか。
その理由には以下の3つが考えられます。
- 取引手数料によるマイナス
- 資金調達率によるマイナス
- 取引で出た損失によるマイナス
注文直後にマイナスになる場合は1つ目の理由が当てはまります。
1. 取引手数料によるマイナス
1つ目は取引手数料によるマイナスです。
これがポジションを持ち始めた直後にマイナスになる理由です。
例えばBybitでは0.02%から0.055%の取引手数料がかかります。
例えば1BTC=400ドル(USDT)のときに注文した場合、0.08ドルの手数料を支払います。
この手数料が注文時点で確定した損失として実現損益という形でマイナスされます。
他の取引所では手数料率が異なる場合がありますが、考え方的には同じです。
つまり取引を始めてすぐにマイナスになる=取引手数料と考えて問題ありません。
ちなみにもし取引手数料がマイナス(例:-0.01%など)であれば手数料を受け取れるため、実現損益がプラスになることがあります。
2. 資金調達率によるマイナス
取引を開始して少ししてからマイナスの額が増えた場合、資金調達率(FR)によるマイナスの場合があります。
無期限先物取引でポジションを持っている間に発生する手数料です。
簡単に言うと現物の価格と無期限先物の価格のズレ(乖離)を防ぐための手数料で、1日3回徴収されます。
BybitやMEXCは原則として1時・9時・17時、Bitgetは原則として0時・8時・16時と、8時間ごとに徴収されます。
資金調達率にはプラスとマイナスがあり、どちらかによって以下のように支払う場合と受け取る場合の2種類があります。
ロングポジション | ショートポジション | |
プラス | 手数料を支払う | 手数料を受け取る |
マイナス | 手数料を受け取る | 手数料を支払う |
例えば資金調達率がプラスのときにロングポジションを保有していた場合(左上)、自動的に原則として8時間ごとに手数料が支払われます。
支払った手数料が損失として実現損益に加算されていきます。
逆に資金調達率により手数料を受け取れる場合もあります。
例えば資金調達率がプラスのときにショートポジションを保有していた場合(右上)、手数料を受け取ることができます。
この場合は実現損益に利益として加算されていきます。
このように資金調達率により実現損益がマイナスになったりプラスになったりすることがあります。
3. 取引で出た損失によるマイナス
3つ目の理由は取引で出た損失によるマイナスです。
例えば1BTC=300ドルで1BTCロング(買い)した後に1BTC=250ドルで0.3BTCを決済した(売った)場合、この0.3BTC分の損失(=15ドル)が発生することになります。
これが確定した損失として実現損益に計上されます。
もし逆に1BTC=400ドルで0.3BTC決済した(売った)場合は30ドルの利益が出ているため、実現損益にプラスとして加算されます。
このように持っているポジションのうち、一部を決済した場合に出た利益や損失が実現損益に加算されることでプラスやマイナスになります。
未実現損益とは?
では未実現損益とは何なのでしょうか。
未実現損益は現在のポジションで発生しているが、確定(決済)していない利益や損失のことです。
含み益や含み損とイコールだと考えて問題ありません。
例えば1BTC=300ドルで1BTCを買い、1BTC=400ドルになった場合、100ドル分の利益が出ています。
この時点で決済(売り)していない場合、ポジションを持ったままになっています。
つまり未確定だが発生している利益ということで未実現損益として現在の利益(100ドル)がプラスとして表示されます。
逆に1BTC=300ドルで1BTCを買い、1BTC=250ドルまで下がった段階で決済(売り)していない場合、50ドル分の損失が出ています。
この場合は未確定の50ドル分の損失が出ているので未実現損益はマイナス50ドルとなります。
もし途中で数量の一部を決済した場合などは現在保有中の数量の利益が未実現損益として表示されます。
例えば1BTC=300ドルで1BTC買い、1BTC=400ドルになったときに0.3BTC売ったとします。
このとき、0.3BTC分の利益(=30ドル)は実現損益に加算され、0.7BTC分の利益(=70ドル)は未実現損益にある状態です。
この後1BTC=250ドルまで下落した場合、ポジションとして持っている0.7BTCは損失が出ています。
この場合はマイナス0.7BTC分(=35ドル)が未実現損益、既に決済していた0.3BTC分(=30ドル)は実現損益としてそれぞれ表示されます。
まとめ
今回はBybitやMEXC、Bitgetといった海外取引所で見かける実現損益や未実現損益、マイナスになる理由について解説しました。
内容をまとめると以下になります。
- 実現損益は確定した利益や損失
- 取引手数料や資金調達率によりマイナスになることがある
- 未実現損益は現在持っているポジションの利益や損失
- 決済していない状態で利益や損失が出た場合に加算される